静的サイトジェネレーターの選び方——更新頻度・担当者・ビルド時間の3軸で比較
静的サイトジェネレーターは機能の多さより「どのくらいの頻度で更新するか」「誰が更新するか」「ページが増えたときビルドに何分かかるか」の3軸で選ぶと、運用に入ってから迷いにくくなります。私が案件で使っている比べ方を整理します。
静的サイトジェネレーター(SSG)を選ぶとき、私は機能比較表から入るのをやめました。いまは**「更新頻度」「更新する担当者」「ビルド時間」の3軸**を先に聞き、そのあとで候補を2つほどに絞っています。どのツールも静的なHTMLを書き出す点は同じで、差が出るのは公開した後の運用だと感じているからです。
静的サイトとサーバーレンダリングの使い分けでは「ページを先に作っておくか」を書きました。今回は、先に作ると決めたあとに「何で作るか」を選ぶ話です。
軸1:更新頻度——「月1回」と「毎日」では別の道具になる
最初に聞くのは、公開後にどのくらいの頻度でページが増えたり変わったりするかです。
- 月に数回以下:会社概要やサービス紹介が中心のサイト。テンプレートの書きやすさや、デザインの再現しやすさを優先できます。
- 週に数回〜毎日:お知らせや記事が積み上がるサイト。Markdownなどのファイルを1つ置けば一覧・詳細・サイトマップに反映される仕組みがあるかを重視します。
私自身、記事を毎日1本ずつ追加しているサイトをいくつか運用しています。このポートフォリオもその1つで、Markdownを1ファイル置いて再ビルドするだけで一覧と詳細に出る構成にしています。更新頻度が高いサイトでは、「1本追加するのに何ファイル触るか」が、そのまま日々の手間になると感じています。
軸2:担当者——コードを書く人か、管理画面がほしい人か
次に、公開後に誰が更新するかを聞きます。ここでツール選びが大きく変わります。
| 更新する人 | 求めるもの | 検討すること |
|---|---|---|
| エンジニア本人 | エディタとGitで完結 | テンプレート言語の書きやすさ |
| 社内の広報担当など | ブラウザの管理画面 | Gitベースのヘッドレスや管理画面との組み合わせ |
| 外部の制作会社 | 引き継ぎやすさ | 言語・ランタイムが社内で読めるか |
SSGは基本的にファイルを編集する道具なので、コードに触れない担当者がいるなら管理画面を別に用意することになります。たとえばDecap CMSは、自らを「Gitのワークフローのためのオープンソースのコンテンツ管理システム」と説明し、静的サイトジェネレーターを問わず使えるとしています。こうした選択肢があることを知っておくと、「更新担当がいるからWordPress一択」と早めに決めてしまうのを避けられます。
もう1つ見ているのが、ツールが前提とする言語です。HugoはGoで書かれたツールで、EleventyはビルドにNode.jsが必要だと案内されています。サイトを作る側が同じでも、引き継ぎ先の人がNode.jsの環境を扱えるかどうかで、選び方は変わると考えています。
軸3:ビルド時間——ページ数が増えたあとを想像する
3つ目は、ページが増えたときにビルドにどれくらいかかるかです。立ち上げ時は数十ページでも、毎日記事を足していけば1年で数百ページになります。
ツールごとの速さの見せ方はさまざまです。Hugoの公式サイトは自らを「The world's fastest framework for building websites」と紹介し、大きなサイトも数秒以内で描画するとしています。一方でAstroは、ブログやマーケティングサイトのような「コンテンツ駆動のWebサイト」向けのフレームワークだと説明し、クライアント側のJavaScriptを既定で載せない(Zero JS, by default)ことを特徴に挙げています。どちらも各プロジェクトの公式の説明で、私が同じ条件で比べたものではありません。
実務では、公称の速さより自分の案件の構成で測ることにしています。画像の最適化を毎回やり直していないか、外部APIから毎回データを取っていないかで、同じツールでもビルド時間は大きく変わるからです。候補が決まったら、想定ページ数ぶんのダミー記事を入れてビルドしてみる。これが一番早い判断材料になっています。
3軸を並べて候補を絞る
最後に、3軸の答えを1行ずつ並べます。
- 更新は月1回、更新者はエンジニア、ページ数は30ほど → テンプレートの書きやすさとデザインの再現しやすさで選ぶ
- 更新は毎日、更新者は自動化の仕組み、ページ数は年数百ずつ増える → 1ファイル追加で反映される仕組みと、ビルド時間を重視して選ぶ
- 更新は週数回、更新者は広報担当 → 管理画面との組み合わせを先に決め、それに合うSSGを選ぶ
私が運用している自動投稿のポータルサイトはAstro、このポートフォリオはNext.jsで作っています。どちらが優れているというより、それぞれのサイトで3軸の答えが違ったから、という理由です。
明日から試せる一手
次の案件の初回打ち合わせで、「公開後、ページは月に何本増えますか」「更新するのはどなたですか」の2つを聞いてみてください。ビルド時間は、候補を2つに絞ったあとで、想定ページ数ぶんのダミー記事を入れて実際に測ります。この順番で進めると、ツールの説明を読み比べるより早く結論が出るはずです。