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2026.09.14/4 min read#direction#pm

クライアントとの「決める会議」の設計——議題・決定者・期限を先に書く

打ち合わせを重ねても何も決まらないのは、議題が「話すこと」で書かれているからです。議題を問いの形にし、決定者と期限を招集の時点で書く。私がクライアントとの定例で使っている会議の組み立て方を書きます。

クライアントとの会議で物事が決まらないとき、原因は参加者ではなく招集の時点の書き方にあることが多いと考えています。私は「決める会議」を開くときだけは、招集メッセージに「議題を問いの形で」「決定者の名前」「決まらなかった場合の期限」の3つを書いてから送るようにしています。この3つが書けない会議は、まだ開く段階ではない、というのが今の私の判断基準です。

「話す会議」と「決める会議」を分ける

制作案件の打ち合わせには、性質の違う会議が混ざっています。進捗を共有する会、素材や意見を集める会、そして何かを決める会です。これを1つの定例の中で全部やろうとすると、共有と意見出しで時間が埋まり、決めるべきことが「次回までに検討」で持ち越されます。

私がディレクションで痛い目を見たのは、トップページのデザイン方向性の選定でした。A案とB案を見せる会を3回開いて、毎回意見は出るのに、どちらで進むかが決まらない。後から振り返ると、招集文に「デザイン案のご確認」としか書いておらず、その場で選ぶ会だと誰も思っていなかったのです。

それ以来、決める会議は定例と分けるか、定例の中でも冒頭に「今日決めること」の枠を独立させています。

議題は「名詞」ではなく「問い」で書く

「デザインについて」「サイトマップについて」という議題は、話す範囲は示しても、終わりの状態を示しません。私は議題を、答えが1つに決まる問いの形に書き直します。

名詞の議題 問いの議題
デザインについて トップのデザインはA案・B案のどちらで詳細化に進むか
サイトマップについて 「導入事例」を公開時に入れるか、第2弾に回すか
公開日について 公開日を10月20日で確定するか、写真が揃う11月初旬にずらすか

問いの形にすると、選択肢と、選ばなかったときに何が起きるかを事前に並べる必要が出てきます。ここがディレクターの準備の本体です。選択肢ごとに「費用・期間・その後の運用への影響」を1行ずつ書いた資料を先に送っておくと、会議の時間はほぼ「選ぶ」ことだけに使えます。

決定者は1人、名前で書く

決める会議でいちばん効くのは、誰が決めるのかを名前で書いておくことです。参加者が5人いても、決める人は1人に絞ります。

この考え方は、Atlassianのチーム向けプレイブックにあるDACIというフレームワークでも整理されています。そこでは役割を4つに分け、Approverは決定を下す1人の人物、Contributorsは知見を持ち提言する人で「発言権はあるが投票権はない」、Informedは決定後に知らされる人と説明されています。Driverは関係者を集め、情報を揃え、決定の範囲を定めて、合意した日付までに決定に至らせる役割とされています(DACI: a decision-making framework | Atlassian Team Playbook)。

制作案件に当てはめると、私の立場はたいていDriverです。クライアント側の担当者は窓口であっても、Approverではないことがよくあります。予算やブランドに関わる決定は、部長や代表が持っている。ここを確認せずに担当者と合意して進めると、最後に上長の一言で戻ります。だから私は案件の最初に「この種類の決定は、どなたが最終的に決めますか」と聞いて、決定の種類ごとに名前を控えておきます。

期限は「決まらなかったとき」の扱いまで書く

期限を書くだけでは足りず、期限までに決まらなかった場合にどうするかまで書いておくと、会議が締まります。

たとえば次のように書きます。

  • 「10月3日までにご判断がない場合、A案で詳細化に着手します」
  • 「導入事例は、9月末までに掲載許可が揃わなければ第2弾に回します」

これは相手に圧をかけるためではなく、スケジュール上の事実を共有するためです。決定が遅れれば、その分だけ後工程が詰まります。デフォルトの選択肢を先に置いておくと、判断の保留が「何も起きない」状態ではなく「こちらに進む」状態になるので、保留したい理由があれば相手から早めに声が上がります。

もちろん、デフォルトを置くのはやり直しが効く決定に限ります。契約や公開範囲など、戻せない決定には使いません。

会議の最後に、決定を1行で読み上げる

会議の終わり5分は、決まったことを1行ずつ読み上げて、その場で決定者に確認してもらいます。「トップはA案で詳細化に進む。決定:〇〇様、9月14日」。この1行を議事録の先頭に置き、共有チャンネルにもそのまま貼ります。

読み上げると、実は決まっていなかったことが浮かびます。「A案で、ただし色は再検討」のような条件付きの合意は、条件の部分を次の問いとして切り出し、また決定者と期限を付けます。

明日から試せる一手

次に送る打ち合わせの招集文に、議題を1つだけ問いの形で書き、その下に「決定者:〇〇様」「期限:〇月〇日(それまでにご判断がなければ△△で進めます)」の2行を足してみてください。書こうとして手が止まったら、そこがまだ準備の足りていないところです。